ピンバッジのメンテナンス方法・保管収納方法とは?
コンテンツリスト
- ピンバッジの経年変化の原因とは?
- ピンバッジが濡れたり汚れたりした時の対処法
- ピンバッジの保管収納方法
- ピンバッジの経年変化にはどのようなものがあるのか?
- 使用環境に関わる製品変化の事例をご紹介します!
- まとめ
ピンバッジを長年使用すると表面や金属の色が徐々に変わってくる場合があります。これを経年変化といいます。
経年変化は必ず起こってくるものです。ですが、保管・収納方法やメンテナンスを少し気にかけることによってその進行の速さや程度を和らげることができます。ここではピンバッジの最適な保管・収納方法とメンテナンス方法をご紹介いたします。また、ピンバッジを長年使うとどのような経年変化が起こる可能性があるかもご紹介します。
ピンバッジの経年変化の原因とは?
ピンバッジの経年変化の原因は大きく分けて2つあります。①湿気
水に濡れたピンバッジをそのままの状態で放置したり、湿度の高い環境下に置いておくと変色など経年変化の原因となります。また、ケースなど外気に触れないよう対策をしていても寒暖差が激しい場所に置いておくと湿気が生じてケース内が蒸れて経年変化に繋がる可能性があります。
②日光(紫外線)
日光(紫外線)はピンバッジの着色料や表面のエポキシ樹脂に影響を与えます。
同じ会社の社章バッジでもずっと社内で仕事をする内勤の人と外回りの多い営業職など外勤の人では経年変化の早さが変わってきます。
また、夏場の野外イベントなど日差しの強い中で長時間使用する場合は注意が必要です。
ピンバッジが濡れたり汚れたりした時の対処法
ピンバッジが濡れたり汚れたりした場合は乾いたやわらかい布で拭くのがおすすめです。水やアルコールなど何も付けないで拭くことをおすすめいたします。
★以下の物には注意が必要です。★
メガネ拭き薬品がしみ込んでいる物がございます。
→変色やメッキ剥がれの原因となります。
アクセサリーを磨く為に販売されているものがあります。
こちらもメッキをはがしてしまう可能性があるため使用は注意してください。
ピンバッジの保管収納方法
ピンバッジは一定温度で外気にも日光にも触れないことが経年変化の進行を和らげる保管収納方法です。ここでいう「保管」とは「ピンバッジ自体をどのような状態で置いておくか」、「収納」は「保管したピンバッジをどのような場所に置いておくか」をご紹介させて頂きます。
★保管方法
ピンバッジはポリエチレン性の袋やケースに入れて保管することをおすすめします。
PINS FACTORYではPP袋での個包装を基本的な納品形態としております。袋の上部は折り返してホチキス留めしています。
そのままPP袋に入れた状態で保管しても問題ありませんが、PP袋も袋の口をテープで留めるOPP袋も1度開けてしまうと密閉状態を保つことが難しくなるため、ジッパーポリ袋のように何度も開閉ができる袋がより効果的です。
同じようにケースもおすすめです。PINS FACTORYでは紙箱、プラスチックケース、起毛ケースなどパッケージを取り揃えております。
★収納方法
引き出しの中など光の当たらない収納場所がおすすめです。 また、湿気の発生を防ぐため温度が一定の場所がより好ましいです。企業など倉庫がある場合は倉庫での保管をおすすめします。ご自宅でもなるべく気温差の少ない収納場所をお選び下さい。
ピンバッジを飾る場合は外気に触れない額装やアクリルスタンドケースの方がより長く綺麗な状態を保ったまま鑑賞できます。飾る場所も日光が当たらない場所がおすすめです。
ピンバッジの経年変化にはどのようなものがあるのか?
どのような経年変化が起こるかを原因別にご紹介します。原因①:湿気
●変色
実際に液体の水に濡れたり、薬品が付いたりということも変化に影響を与えますが、特に気体化した水分や薬品の影響が大きく、化学反応に依って金属部分が変色することがあります。
また、揮発性の高い有機溶剤(シンナー、ベンジンなど)の多い環境では化学反応を起こして金属の色が変わる可能性もあります。
金属部分の変色から錆びなどの劣化に繋がります。
硫黄成分を含む硫化水素は卵が腐ったような独特な匂いが特徴的です。温泉地に行くとその匂いを感じることがあります。また硫黄泉は体に良いと言われているため観光として人気ですよね。温泉に浸かる時にピンバッジがついているものを持ち込むということはほとんどないと思いますが、ピンバッジを付けて硫化水素を多く含む火山ガスが発生する場所を観光やお仕事で訪れる場合はご注意ください。 化学反応を起こしてメッキが黒く変色してしまうことがあります。
・メッキとは?
金属の表面に異種の金属の被膜をつくり基金属の
・変色、錆びから守る
・美観を高める
・硬度を増す(キズをつきにくくする)
などを目的とする加工です。
PINS FACTORYでは基金属は銅合金(真鍮)に金メッキ又はニッケルメッキを基本としています。
原因②:日光(紫外線)
●塗料の色あせ
長年日光に当たっているとピンバッジの着色がだんだんと薄くなってきます。これはピンバッジの着色として使われる
合成七宝、
ソフトエナメル、
レーザープリント、
オフセットプリント
全てに起こり得ます。特に赤色は顕著で、他の色よりも褪色の進行が速い場合が多いです。
●エポキシ樹脂の黄変
エポキシ樹脂は長い時間日光(紫外線)にあたると徐々に黄色く変色してきます。これを黄変といいます。デザインに使用している色が白や薄い色ですとエポキシ樹脂の黄変が顕著に現れます。黄色く変色してしまうと元の透明な状態に戻すことはできません。
エポキシ樹脂とはソフトエナメルやプリントの表面に乗せる透明な樹脂のことです。プリント工法には基本的にエポキシ樹脂を盛りますが、スタンププレス工法とエッチング工法でソフトエナメルで着色する場合はエポキシ樹脂の有無を選択することができます。エポキシ樹脂を盛らない場合は表面に金属の凹凸感が残り、エポキシ樹脂を盛ると表面はフラットな状態となります。
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エポキシ樹脂の黄変が気になる場合の対処法
「UVエポキシ」を使用する。
黄変は必ず起こることですので、黄変を防止したり、元に戻したりすることはできません。ですが、その進行を遅らせる方法はあります。それは、日光(紫外線)に強い「UVエポキシ」を使用する方法です。費用は上がりますが、普通のエポキシ樹脂よりは黄変の進行が遅くなります。「外で使用することが多い」「なるべく黄変を遅くしたい」そんなピンバッジにおすすめしております。ご希望を頂けましたら通常のエポキシ樹脂を使用した場合とUVエポキシを使用した場合と見積をご提案することも可能です。
使用環境に関わる製品変化の事例をご紹介します!
年月をかけて徐々に起こる「経年変化」とは違い、使用環境に依って起こる「製品変化」をご紹介します。このように「実際この環境で使ってみたら…」ということが起こることもございます。
・化学製品メーカーの事例
事務所、作業場内で扱う酢酸系の薬品により金属メッキ部分に変色(黒変)が生じた。
薬品が気化され、換気が十分にされていなかったのが原因と思われます。
・船舶運航会社の事例
観光客船の海上スタッフが着用するピンバッジにおいてプリント部分が剥がれた。
海水が含まれる潮風(塩素系)が原因と思われます。
まとめ
このページではピンバッジの保管・収納・メンテナンス方法と、ピンバッジの経年変化をご紹介いたしました。 経年変化は徐々に現れてくるため、気づいたら変わっていたということも少なくありません。 変化が現れるのも使用状況や収納状況(環境)に依るため「これくらいから変化してきますよ」という断定も難しくなっています。ですが、保管・収納・メンテナンスを少し気にすることでその変化を遅らせることはできます。 なるべく長く元の状態で使用したい方は上記の保管・収納・メンテナンス方法を是非試してみてください。
経年変化にはマイナスのイメージを持たれる方が多いですが、PINS FACTORYにご依頼をいただくお客様の中には経年変化をプラス要素として受け止める方もいらっしゃいます。
「エポキシ樹脂は黄色くなりますけど大丈夫ですか?」と聞くと「長年使ってる感じが出ていいじゃないですか!」とお言葉を頂くこともありました。
経年変化を「ヴィンテージ感」として楽しんでみるのも良いかもしれません。
お客様の感覚に合せて経年変化と上手く付き合っていただき、長きに亘ってピンバッジを楽しんで頂けると嬉しいです。